| 雛人形を飾り、墓参。 例年慌ただしい2月もこの日で落ち着きはじめます。 |
一人暮らしをしていた時、母が部屋を訪ねてきた。手には桃の花と紙袋。「デパートでね、つい買っちゃった」「飾っておきなさい」そう言ってこの雛人形を取り出した。それを眺めながら、やはりデパ地下で買ってきたという弁当を二人で食べる。
どこにでもある母娘の光景。でも私はひどく戸惑っていた。母と雛人形が結びつかない。行事を、桃の節句を大切にする人だから不思議はないのに何故???自分でも不可解な感覚。だからといって深く考えるわけでもなく、人形の入った箱を開ける度にその違和感を思い出し、片付けるたびに忘れていった。
今日は母の命日。「倒れて後、病む」が口癖だった母は、死ぬ数時間前まで働いていた。享年61才。今年もこの小さな雛人形を飾る。あの時の違和感は何だったのか。私はただ一度、母の中の女性を見つけたのもかしれない。この雛人形は娘のために、そして母自身のために買ったものだと思うのだ。