先月末ですが、南の島で暮らすMが一時帰国。二年振りの再会です。
有楽町の安い飲み屋で、Mは日本円にして150円のビジネスを語り、私はブエノスアイレス熱を語る、という全体的どうでもいい話ばかりをして時間が過ぎていく。
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Mとの出会いは高校一年生の時。Mはヤンキーが入った見るからに面倒くさそうな女で、実際に面倒くさい女だった。夏が好きで、酒が好きで、お祭り騒ぎが好きで、我儘な暴れん坊。情に厚くて、誰よりも美味しそうに食べて、誰よりもいい顔で笑うM。世界中を旅していたのMが南国の離島で暮らしはじめたのは八年前。五年前に現地の人と結婚した。
カシューナッツやマンゴーが実り、水牛や野豚がやってくる庭。野菜くずや食べ残しを片付けるのは鶏や野良犬。料理をしたくない日は町の食堂へ行き、お金がない時は誰かが食べさせてくれ、お金がある時は誰かにご馳走する。明日食べていけるぐらいのお金を稼ぎ、一日の終わりにはハンモックで夕陽の沈む海を眺めながらビールを飲む。楽園のような常夏の島。ごくごく普通の暮らし。
「ちょっと、いつくるのよ!」「ブエノスアイレスよりも先!」と怒るM。「ジンベイザメと泳ぎたい」「ウエットスーツ着るような場所じゃないと無理だよ」「じゃあイルカとでもいい」「OK」。満天の星空の下で踊り、夜明けの海で泳ぎ、木陰で昼寝。マンゴー、ライチ、マンゴスチン。果物だけでお腹をいっぱいにする。そんな約束をしてお開き。
| ライブハウス、ディスコ、クラブ、映画館、飲み屋。 Mと一緒に夜遊びをした店の大半はなくなってしまった。 有楽町もだいぶ変ったけど、交通会館は健在。ここもまた思い出の場所。 |
Mと仲良くなったきっかけは佐野元春さんの話から。G子にも紹介し、3人で一緒にバイトもした。「G子どうしてる?」とMも気になっていた様子。
別れ際、ハグをした。酒が入るたび、Mはハグをしたがる。いつだったかハグをしたMが「アタシは親友と思っているからね!」と言い出した。「お前は小学生か」と返すと「愛しているって言いなさいよ!」と愛情の強要。やっぱり面倒くさい。この甘えん坊さんめ。だけど本当はずっとMのようになりたかった。気持ちのままを口にできるMが眩しかった。嬉しかった。
別れ際、ハグをした。酒が入るたび、Mはハグをしたがる。いつだったかハグをしたMが「アタシは親友と思っているからね!」と言い出した。「お前は小学生か」と返すと「愛しているって言いなさいよ!」と愛情の強要。やっぱり面倒くさい。この甘えん坊さんめ。だけど本当はずっとMのようになりたかった。気持ちのままを口にできるMが眩しかった。嬉しかった。
いつものように泥酔のMを地下鉄の改札に放り込む。「座っちゃダメだからね」スマホを手に持たせ「駅到着1分前に鳴らすから」と伝えた先からバッグに入れようとする。あああああ!だから!!!Mと一緒だったから私はまともな酔っぱらいになれなかった気がする。Mと出会わなかったらもっと素直じゃなくって、もっと面倒くさい人間になっていたと思う。